東京高等裁判所 昭和36年(ラ)630号 決定
一般に会社の取締役の個人債務についてその債権者に対し会社が会社所有の不動産を担保として提供し債務不履行の際に代物弁済として右不動産の所有権を債権者に移転することを約することは会社の不利益において取締役個人の利益をはかる点で会社と取締役との間の直接の取引と同視すべきであるから右の行為は商法第二六五条によつて取締役会の承認を得ない限り無効であると解するのが相当であるけれども、右の行為が無効であるというのは無権代理人の行為の場合と同じく取締役会においてその追認をしない限りはじめから効力を生じないという意味であつて、抗告人主張のように取締役会の不承認があつてはじめて無効となるという意味のものではないと解すべきである。
(町田 下関 秦)